トッポ（ロッテ）の空箱で作った、はるきる作品
第５回
お菓子の空箱を使ってのアート作品を公開し、２０１９年に次々に話題を呼んだ、大学生の空箱職人アーティスト、はるきるさんにインタビュー！
ーー今回は作品にまつわる、様々な疑問をぶつけます！まず、発表していく間に、自分と他の人の間で、評価が違うな、と思ったことはありますか？
はるきる ギャップはありますね。空箱作品を始めた頃は、技術的にすごいものを作るのが僕の誇りでもあり、そこが重要だと思っていたんですけど……。鼻セレブの空箱で作ったあざらしが、ツィッターでめちゃくちゃ人気が出たんです。僕、あれ、30分で作ったんですよ……。なのに20時間掛かった作品より断然人気だった。
鼻セレブ（Nepia）の空箱で作った、はるきる作品
ーー20時間掛かった作品とはどれですか？
はるきる お菓子のリッツの箱で作ったライオンです。難易度も高くて苦労したのに、SNSの数字では、30分で作ったあざらしに全く負けているという……。そこで「あ、皆が求めているのは技術じゃない」って気がついたんです。それから作品のクオリティを追い求めるだけでなく、デザインやセンス、箱の変化のおもしろさ、わかりやすさ、キャッチーさを大切にするようになりました。
RITZ（ナビスコ）の空箱で作った、はるきる作品
ーー１日にどれくらいの作業時間をあてるのですか？
はるきる １日に６時間までですね。一度作り始めたらほかのことはせず、集中したいんです。でも６時間以上は持たないと思うんです。
ーー作品の販売はしないんですか？
はるきる 販売はないです。依頼されて制作することはありますけど、それでも作品をお渡しすることはないです。基本は１個だけです。同じものをまた作るくらいなら、新しいものを作りたい。
HOBAL（グリコ）の空箱で作った、はるきる作品
ーー作品を作っていて、辛いことはないんですか？
はるきる 手を動かすことが基本的に好きなので、制作過程では辛いことはないです。今までで大変だったのは、メーカーさんから「うちの商品で作ってくれないか」とオーダーを受けて、「この箱で何を作ればいいのかな」って悩んだ時ですね。そういう時は……、なかなか（笑）。
ーー結局どうしたんですか？
はるきる あれならどうだろう、これなら……、とひたすらリストアップしていって、その中からなるべく元のイメージを活かせる、一番いいものを選びました。
ーー今まで「ひらめき」で作っていたものを「考える」ほうにシフトしたんですね。結果どうでしたか？
はるきる （笑）。ちゃんとしたものが、できたかと思います！
ーークライアントさんからダメ出しを食らったことはないですか？
はるきる ないですね。商標的にダメなものは使わないでください、っていう縛りくらいはありますけど。
ーーでは作っていて、一番楽しい時はどんな時ですか？
はるきる 元の箱のここを、作品のここに使ったらめちゃいいよね……ってアイデアが浮かんだときは、最高に楽しいですね。
僕の中で特に気に入っているのは、ムーンライトの三日月に天使を乗せた作品なんです。それに塔も作って。
ーー箱から全くおよびもつかないものを作りたいわけではないんですね。
ムーンライト（森永製菓）の空箱で作った、はるきる作品
はるきる 元のデザインを活かして作るのがいいんです。元の箱の色合いとか……。リッツは鮮やかな黄色と赤だから、これでライオン作ったらいいんじゃないか、と思って作ったり。メルティキッスだと箱に雪のイメージがあるので、雪だるまを作ったりとか。イメージにあったものをチョイスしています。
ーーそうですね。でもはるきるさんの魅力は、どんなモチーフのものを作っても、なんかメルヘンチックというか。ファンタジー感があって、可愛らしいところが素敵に感じます。そのモチーフになっているもののソースが、どこから来ているのかが気になっています。次回はその点についてお伺いしたいと思います！
どん兵衛（日清）の空箱で作った、はるきる作品
空箱職人「はるきる」プロフィール
1997年生まれ。
神戶芸術工科大学アート・クラフト学科在籍。 2017年、「明治ザ・チョコレート」の箱でロボットを作ったのをきっかけに空箱工作を始め、作品を Twitterで発信。そのクオリティーの高さが毎回話題となり、テレビでも多数取り上げられている。 現在は新作を制作しながら、企業とのコラボレーションも行なっている。 7月には自身初の書籍「お菓子の箱だけで作る空箱工作」(ワニブックス社)を発刊。 Twitterアカウント(@02ESyRaez4VhR2l)
文／鈴木真理子
写真／mina
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