ファンタジックワールドを紡ぎ出す女性カメラマン・ 四方あゆみさんINTERVIEW 第6回(全9回)

ファッション誌でたくさんの写真を発表してきた四方あゆみさん。
ファンタジックな匂いがする作品が多いのですが、
その秘密はどこにあるかというと……。


©Ayumi Shikata


四方あゆみZINE#05『ひと匙姫』より
モデル★RinRin Doll、 スタイリスト★Angelic Pretty、 
ヘア&メイク★並木昭(KuraraSystem)


第6回

ファッション・カメラマンだけど
どうやらファッションより、
童話が好きだったのかも?

ーー学生時代、少女向けファッション雑誌『Olive』を夢中になって読んでいた四方さん。どうやら四方さんの写真のイメージソースには、その『Olive』の影響があったらしいのです……。今も誌面で外国人モデル達が白いワンピースを着て、花冠を持ってくるくる回る姿が忘れられないのだそう。

四方 今思えば、それがその頃の私には、幼少時代から好きだった童話の1ページみたいに見えていたんだと思うんです。

ーーなるほど。それまで童話を貪り読んでいたんですものね。外国の童話の挿し絵みたいなシーンが写真になって現れた。思春期の少女・四方あゆみさんにとっては、まさに衝撃の出会いだったわけですね。

四方 はい。それに田舎に住んでいたから、雑誌に出てくるようなきれいな服を来て歩いている人なんて見たことがないし、ましてや花冠を付けている人なんていない(笑)。

ーーあはは。

四方 その後はモードに憧れた時期もあったんですけど、そこは染み付いていないんですね。

ーーどうやらファッションより童話が好きだった?

四方 そうですね。だって、その時雑誌で見た服のブランドを今、全然覚えていないんですもん(笑)。結局その後カメラマンになってからの仕事でも、モードファッション雑誌『VOGUE JAPAN』では、大人のファッションページだけ撮影していたわけではないんです。付録として付いていた小冊子『Vogue Angels』で子供のファッション写真をたくさん撮影させてもらうようになっていました。ファンタジックな写真をオーダーされて。現在では童話は読まないけれど、ファンタジーが入ったゲームや映画の世界はとても好きですし。今でも映画『ロード・オブ・ザ・リング』など見ると「こんな世界があるなら、人生、もう少し頑張ろうかな」って思えます(笑)。

ーー幼い頃は童話に、学生時代はメルヘンチックなファッションポートレートに夢中になっていて……。今はファッションカメラマンとして活躍中ですが、結局は小時代に好きだった世界が、仕事に反映されているわけですね。

四方 自分では特に意識していないんですが、私がふつうにポートレートを撮ってもどこかファンタジックになっているんだと思います。スタジオで作り込んで撮影しても、町歩きでナチュラルに撮影しても、実は私は「私が見えている、そのモデルの姿」を撮っているんです。その姿を写真にするために、光を工夫したり技術を駆使するんです。

ーー次回は四方さんがカメラマンとして壁にぶつかった時代のお話を伺います! 聞けばどんな仕事をする人でも経験するような壁ですが、その解消の方法が独特……! 「そんなのアリ?」って感じです!必読!お楽しみに♥︎



四方あゆみ(しかたあゆみ)Profile

愛媛県松山市出身、日本大学芸術学部写真学科卒業。1997年代官山 スタジオ入社、1999年よりフリーランスとして活動、現在に至る。ティー ン向けファッション雑誌、子ども向けファッション雑誌、メンズファッシ ョン雑誌などで独特の写真を発表して、モデルやアーティストにも多く のファンを持つ。2年前に初のZINEに挑戦、現在まで7冊を刊行し話題 に。2019年8月には初めての個展を開いた。Rooster所属。

Instagram : https://www.instagram.com/shikata_a/

Twitter : https://twitter.com/SikataA

取材★鈴木真理子