「rurumu:」2021 SSコレクション展示会場の様子をお届け。デザイナー・東佳苗さんへインタビュー

2020.11.20 09:00

現代ガールズカルチャーを牽引するデザイナー・東佳苗さんが手掛けるブランド「rurumu:（るるむう）」の2021 SSコレクション展示会が、東京・LIQUIDROOM内のKATA galleryにて、2020年10月14日（水）〜10月18日（日）まで開催されました。

本展示会は東京を皮切りに、名古屋、京都、福岡の４都市を巡回しており、今回は東京会場から新作商品や会場内の様子をお届けします。また、今回のコレクションテーマやビジュアルについて東さんにお話を伺いました。

現代を生き抜く女の子のための「rurumu:」

rurumu:は、東さんが学生時代から続けている一点もののハンドメイドニットを展開するブランド「縷縷夢兎（るるむう）」に対して、受注生産をメインとしたコレクションを展開するブランドです。

縷縷夢兎では、アーティストやアイドルへの衣装提供を中心に活動していますが、限られた人にしか届かなかった商品をより多くの人に届けたいという思いから、2019年にrurumu：を立ち上げ、生産数は増やしながらも縷縷夢兎で表現してきた世の中への皮肉や女の子の強さなどを、シーズンテーマに合わせ再解釈して展開しています。

2021 SSコレクション“Symbiosis”
テーマとコレクションビジュアルについて

2021年SSコレクションは、今シーズンのテーマである“symbiosis（共生）”を反映させ、様々な要素を1枚の服に“共生”させたデザインが特徴という東さん。モチーフの継ぎ目にラメ糸などを使用して、陶器の金継ぎのようなデザインに仕上がっています。

また、ブランドの世界観が注ぎ込まれたアイコニックなワンピースは、スカート部分のストリングを調節することでいろいろな着方を楽しむことができ、同時に幅広い身長や体型に寄り添う工夫がなされているのもポイントです。

今回のコレクションビジュアルでは“共生”をテーマに、年齢も出身地も異なる３人の女の子たちが登場。キャンピングカーの中で一緒に生活している様子は、60年代アメリカのヒッピーを彷彿とさせます。危うげな儀式に憧れてメイクを施し合ったり、色々な場所から集まった彼女らが自由に生きている姿を表現し、そこにrurumu:のアイテムと、ブランドの社名にも使われている「Riot Grrrl（ライオットガール）」の要素が加わることで、ヒッピーとガーリーパンクをクロスオーバーさせたビジュアルに仕上げたのだそう。会場の壁一面にもその数々が飾られていました。

他にも会場内には、女の子たちが暮らしている様子を思わせる食卓など、アンティーク雑貨店「Shiberia Antiques」による今シーズンのrurumu:をイメージした空間が広がっていました。

現代美術家・スズキエイミさんとコラボレーション

また今シーズンは、解剖学をテーマに絵画やコラージュ作品を制作している現代美術家・スズキエイミさんのアートワークとコラボレーション。

キービジュアルとなったスズキさんの描き下ろし作品『The shape of love.』は、「愛」という作用で生まれるものの中で欠かせない、生命の誕生をモチーフに受胎告知の構図を用いて「様々な愛の形」が描かれています。

正面の壁には、アダムとイヴより、人間同士が交わした最初の愛としての「蛇」、rurumu:のロゴのイメージを内包し、性愛の意味としての「兎」、そして愛そのものを表すアイコンとしての「心臓」と、それぞれ違った視点から愛のモチーフが描かれています。また、右側の女性の胸には手術痕があり、失われた愛(又は奪われた、失恋など)を表現し、床に転がる髑髏は、愛が持つ凶暴で利己的な面の意味を持たせているそうです。

このように、5つの愛のモチーフと受胎告知の構図を合わせた6つの要素を「愛の形（Shape of love）」と題した本作は、「共生する愛」を全体のテーマに掲げて、いくつもの愛を持って生きていくことを表しています。

新作コレクションではスズキさんの作品を使ったアイテムも登場。さっそくチェックしていきましょう！

「rurumu:」2021 SSコレクション
“Symbiosis”

shape of love tops　￥29,700（税込）

『The shape of love.』を分解し、スズキさんの過去作とコラージュのように繋ぎ合わせたトップス。あえて鋭角に切り取ったパーツを接ぎ合わせることで、陶器の金継ぎを思わせるようなデザイン。

symbiosis knit OP　￥88,000（税込）

編み柄や異なる生地を使って表現された様々な要素を、1枚の服に“共生”させたニットワンピース。スカート部分に通したストリングでシルエットを変えることができ、また前後どちらを前にしても着られるデザイン。生地には愛をテーマにしたニーチェとゲーテの言葉が織られており、ウエストにはSealed With A Kiss（手紙の封筒をキスで封じた）を意味するガーリーなスラング「S.W.A.K.」が添えられている。

symbiosis knit CD　￥49,500（税込）

様々な種類の花やフリンジ使いが印象的なショート丈のニットカーディガン。それぞれのモチーフにデザイナーの意図が込められており、背中には今シーズンのメッセージ“every girl is a Riot Grrrl”を大胆にジャカードで表現。同シリーズのスカートとセットアップで着るのもおすすめ。

symbiosis knit mini SK　￥35,200（税込）

airy glitter shirring OP　￥71,500

rurumu:オリジナルのテキスタイルを使用した量感のある贅沢なワンピース。ラメ糸をガーゼのように透け感のある生地で挟み、生地全体に渡るラメ糸が脈のように透けて見える。

みなさんの気になる新作はありましたか？

2020年は世界中の誰も想像していなかった展開となりました。これまで疎かになりがちだった日常や自分自身について誰もが改めて見つめ直し、止まっていた世界もやっと前に進み出した今こそ、私たち女の子はライオットガールのように現状に満足せず、自分の意志を持って今を生き抜いていくべきなのかもしれません。rurumu:の今後の展開に注目です！